【第55号】いい質問とは?

教育、企業、スポーツ問わず、
組織における「人材育成」のニーズは、年々増す一方にあると感じます。

「いいからやってください」
「いついつまでにやってください」
「指示通りにやってください」
一方的な指示・伝達だけのコミュニケーションでは、自ら考えて行動する「自律型人材」は育ちません。

そんな中、「自発的の行動」を促すコミュニケーションの技術として「質問力」が注目されています。

質問によって、相手に「気づき」を促し、いかに自発的行動を誘発するか?

今回は、思わず筆者が「確かにそうだ!」と唸った考察があるのでご紹介いたします。

◆今日の質問
「いい質問ができる人になるために最も重要な資質は何か?」

◇解説
この問いに対して、「マッキンゼーで叩き込まれた『問い』の力」の著者、大嶋祥誉さんは、こう記しています。


「いい問いができる人になるために最も重要な資質は何か?」と言えば、
実は、効果的な問いのできるノウハウを使いこなせることでも、
問いのできる知識に精通していることでもありません。


それは「かかわる人に対する愛」だと考えます。


つまり、「愛」とは相手の価値観を尊重すること、気遣うこと、理解するということ。

ニュートラルに相手に接し、誰に対しても可能性と未来を信じて接することです。

ゼロ発想で、ニュートラルに「それって本当に大事かな?」というような問いを発することができる人が、
いい問いができる人です。 

問いを出すことは相手のことを決めつけたり、打ち負かすことではありません。
問うという行為の根底にあるのは、相手を「尊重・共感・許容」する働きです。

実はそれまでコーチング(傾聴・質問を用いたコミュニケーション)に対してモヤっとしたものを感じていました。
それは、コーチから「上から目線」を感じたり、「気づかせてやろう」という作為を感じたことがあるからです。
「これがコーチングっていうものなのか?」とモヤっとしたことがある筆者にとって、
この一節を読んで、霧が晴れた気持ちになりました。

ニュートラルな視点とは、自分のジャッジや意見をいったん脇において、
「無邪気な子供になったような気持ち」で何が起きているのだろうと、知ろうとする視点です。
言い換えると、起きていることから「学ぼう」とする視点です。

例えば、何回も遅刻する人がいるとします。
その際、私たちは往々にして、
「なんで何回も遅刻するんだ?」
「何回遅刻したら気が済むんだ?」
と「遅刻=悪いこと」というモノサシで問い詰めたりします。

一方、ニュートラルな視点に立つと、
「遅れてくるのはあなたなりにどんな理由からかな?」
「何が妨げになっているのかな?」という質問になります。

ニュートラルな質問であれば、相手に「考える余地」が生まれます。
それが結果として「気づき」につながり、「行動を変えるきっかけ」につながることもあります。

ここで大事なのは、「相手を変えよう」「何か気づかせてやろう」と思って質問することではありません。
相手が気づいて、行動するかどうかはあくまで結果論です。
本当に大事なのは、相手に対する「思いやり」や「愛情」があるかどうかです。

「相手を思い通りに動かしたい」という自分本位な発想を持てば持つほど、
「相手は動いてくれない」というパラドックス(逆説)が生じます。

とはいえ、頭ではわかっていても、利害関係がある人ほどニュートラルにはなりにくいものです。
また、自分の心身の状態が不健全で心に余裕がないときも、他人に対してニュートラルになりにくいものです。

「いい質問ができること」と「人間力」は切っても切れない関係にあると、実感します。

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