川島隆太教授インタビュー(後編)

川島隆太教授インタビューの前編は、「現在の社会に感じている課題」「KODO ISHINのここが興味深い」「成功体験を通じて人は集中力、継続する力を伸ばす」というお話しでした。インタビュー後編は、脳への悪影響になる行動について、継続することへの仕掛けについてお伺いしました。

脳を退化させる行動とは

栄木:
ー 反対に「脳を退化させる行動」の具体例としてどんなことが挙げられますか?

川島:
やはり現代社会で我々が一番危惧しているのは、スマートフォンやインターネットの利用です。
これがすごく身近になり、脳に対してものすごく強い抑制性の影響があり、
脳にダメージを与えているということがわかっています。

生活の中で脳を使わないということは、脳の機能が退化するということとイコールであることが、
臨床医学の世界では明らかだと言われています。
ですから、前頭葉を使う生活をするということがポイントだと思います。


生活全般でいうと、やはり人と直接会わないということも脳に刺激が入らないということを意味していて、
現在のwithコロナの時代のステイホームということもすごく危機感を持っています。
実際に、高齢者の介護の世界ではコロナが流行ってからの高齢者の方の認知機能の低下があまりにも著しいということは様々なところから指摘されていますし、ある初等教育の現場を見ていても子供達の発達にも影響がでていると感じています。
また、自己肯定感も若干下がっているということもデータに出てきていますので、社会に出て人と実際に触れ合わないということもリスクですね。

スマホゲームが脳にあたえる影響とは?

栄木:
ー そうなると、ますます人が自制心がなくなったり、
 積極的に何かしようという意欲を持てなくなってしまう恐れがありますね。

 ところで、スマホゲームなどでも「報酬系」が働くと言われますが、
「身近な行動を起こすことで得られた報酬系」とは何が違うのですか?


川島:
報酬系としては一緒なのですが、ただゲームをしている時というのは、
前頭前野の大脳皮質の方に抑制がかかるので、脳がすごく不思議な状態になっているのです。
要はゲームしてること自体は明確な報酬です。
ですので人々はこう中毒になるんです。ゲームを続けたくなる。

ですがその時、報酬系は働いているのですが、
前頭前野の大脳皮質は、抑制がかかるという一般社会では起こらないことが起こっています。
そのあたりは一体何が起こっているかということは私達もまだよく理解はできていません。
ただ、ものすごく脳のなかでは不自然な、不思議なことが起きているということは脳科学的には言えます。



栄木:
ー 脳にとって悪い習慣を減らして、良い習慣を増やして行くということが、
 人間らしく、そして自分の意思を持って生きて行く第一歩ということですね。


川島:
うですね。脳と身体と両方ですが、心身を積極的に使うということ。
これが人間らしく生きてく為の第一歩です。
あとは、基本的な生活習慣を保つということも大切です。
睡眠の習慣、食事の習慣、これが崩れると一気に全ての状態が悪い状態になっていき、認知機能・脳の機能にも悪影響を与えます。
心身を積極的に使う、それから生活習慣をきちっと整えるという当たり前なんですが、
当たり前のことをし続けるということが大事だと思います。


KODO ISHINの行動指針について

栄木:
ー 当社の行動指針ということで「5Gから5自へ※」という指針を掲げました。
 こちら川島教授の所感をいただけますか?

※株式会社KODO ISHINのAction Guidelines 
時代は「5G」から「5自」へ

自主:「自分はどうあるか?」と自らを主語にして考える
自律: 自らに規律を作り、自ら決めたことは、実行する
自省: 自らの行動を省み、自らを修正し、改善し続ける
自制: 易きに流されれば、簡単に堕落することを心得る
自由: 自らを自由自在にコントロールできるようになる



川島:
まず掲げられ「5自」は、全て前頭前野の働きです。
ですので、
私の目から見ると一番高度な働きをしている前頭前野の機能に注目されているなと思いました。

栄木:
ー ありがとうございます。
 前頭前野を意識して作ったわけではないのですが、現代に生きる人に必要な心がけと思いました。
    ところで、もし脳にとって前頭前野以外に、重要な働きをする機能は何ですか?

川島:
脳自体は全ての機能が必要ですから、
特にどれが大事でどれが大事じゃないという順番はないのですが、
その大事な様々な機能を動かしているのが脳の中の司令塔である前頭前野なのです。

ですから、自主・自律・自省・自制・自由はその司令塔の中の機能なわけです。
その司令塔がしっかりと機能しなければ、どんなによいプレイヤーがいても、
バラバラに働いてしまっては、脳という一つのチームが機能しなくなります。
そういったふうに考えてもらってもよいかなと思います。

特に、この今の時代、これはコロナということではなく、
ICTが我々の生活の中に深く入り込んできて、
これからDXと呼ばれるような時代に突入して行く我々にとって、
一番重要な5つの認知機能を挙げているのかなと思います。

栄木:
ー ありがとうございます。
 KODO ISHINとして最も伝えたいのは以下のメッセージ(代表挨拶)になるのですが、
 この点について川島教授どう捉えられますか?

一番に世に届けたい価値は「心のあり方」です。
どんな困難も逆境も、「心のあり方ひとつ」で乗り越えることができます。
そして、「心のあり方」は、「自律的な行動」を通じて養うことができます。

川島:
私と考えていることと一緒だなと極めて共感して見ていました。
要は、脳と心と身体は全部繋がっていますし、
「結果を伴う行動によるフィードバック」
これが自分自身を高めたり、
自分の心を強くすることにつながる唯一無二の方法なので、
頭の中で考えているだけではやはり何も起こらないですね。
ですので、極めて同感です。

行動を継続することへの「仕掛け」が現在の課題

栄木:
ー唯一無二とおしゃっていただいたのは非常に心強いです。
 私は「説得では、自発的には人は動かない」と痛感じています。
 「人はどうしたら、自発的に自らの行動を変えようするのか?」という点で、
 本人の「気付き」「納得感」「腹落ち感」が大事だと思っています。
 ただ、それだけではダメで、誰かの支援がないと行動を継続することが難しい時代と感じています。

 KODO ISHINとしては、お客様に対して「行動継続サポーター」がつき、
 「自分が宣言した行動」を継続的にサポートしていきます。
 そして、成果の見える化は、様々な会社とコラボしながら見出していきたいと思っています。

 最後に、(株)KODO ISHINの今後の取り組みに対してメッセージを頂けると幸いです。

※株式会社KODO ISHINの3つの特徴
1:行動を新たにすることへの「腹落ち感」「気づき」「動機づけ」
2:行動を継続することへの「仕掛け」
3:行動が変わることによる「成果の見える化」


川島:
まさに教育の世界で、子供達の教育を成功させるために何をしなくてはいけないかということが、
その3つの特徴そのものなのです。

まずは最初に何のために学ぶのかという動機付けがあるかないかにより、
その後の学習が進むかどうかが変わってきます。
動機を持っている子たちはしっかりと自ら学ぶということが自然とできるようになるし、
その
動機がない子たちはいくら仕掛けてもその学習に上手く入っていけいないということがわかっています。


そして、3つ目の「成果の見える化」は、要はフィードバックだけが、
人々のその行動に気づきを与えて行動変容をもたらすということ。
これは教育心理学で明らかになっています。
そして、リアルタイムのフィードバックも大事だということも言われています。
時間が経ってからフィードバックしても、効果は弱く、
できるだけ
行動した直後に声がけを行い、フィードバックを与えるということで、
人々の行動変容なり、良い方に人々を持っていくことができるということがわかっています。



ただ、問題は2つ目の特徴の「継続することへの仕掛け」なのです。
いかに努力を継続させるかということ。
そのノウハウの部分がまさに教師の腕とされていたところでありますが、そこが抜け落ちているのです。

何のために行うのかを説明して、それから見える化をして継続することへの仕掛をするのです。
ですが、どうしてもプログラムでやろうとすると上手くいかなくて、
トレーニングは継続していかなければいけないのに、結果としてボロボロと脱落していく。

まさにこの部分なのです。

の部分をしっかりとサポートすることによって継続をして、
結果がどんどん変わり、それがいわゆるフィードバックになって、
良いループに登っていくことが実現できるとよいのですが、これが教育の世界でもうまくできていない。

そこで、様々な目標・目的があったとしても、
まずは身近なところ、誰でもできるところからスタートをして、
成功体験をさせてそれを継続するようにKODO ISHINがサポートする。
「やればうまくできるんだ」と「目的を持って続けていけば自分は変われるんだ」
という経験を積ませていく。

要はゴミ拾いであればゴミ拾いで終わらせないで、
次の目標でも同じようにやればよいということをしっかりと根付かせる、
ということができているので「継続することへの仕掛け」部分に興味を持っています。



栄木
ー ありがとうございます。
「継続することへの仕掛け」部分に関しては大事な部分だと思っていますが、
 これはITツールやAIではまだ難しい領域と実は思っているのですが、その点についてはいかがですか?


川島:
かなり難しいかなと考えています。
やはり人が関わらないとできないところなので。だからこそコストがかかるのです。
コストがかかるから大量生産というか、大きなシステム・仕組みを作るのはなかなか難しいというところがあるのです。

栄木:
ー 他人からの継続的なサポートがあると、行動の定着に繋がるイメージはありますか?

川島:
それはあります1つ目の「動機付け」だけで行動を継続するのは実に難しいのです。
「自分はボケたくないから脳を鍛えたい。」これは見事な動機付けな訳です。
将来、自分がボケないという将来を見通した意識を持っている。でも続かないんです。

人は生き物なので、一人で何かしようとすると、
よほど意識が強く、極めて限られた人達以外のほとんどの人が脱落してしまうのです。


それで「あきらめる」ということの学習をしてしまう訳です。
負の学習です。

しっかりと努力をして、人々のサポートを借りても続けていくことによって、
「自分は変われるんだ」という体験ができるということ、
貴重な経験をするという楔を打ち込むということに大きな価値がある
思います。



栄木:
ー 「人が人の行動をサポートするしくみ」
 今は在宅勤務や副業可の方も多いので、そういった方々の雇用創出にもなると考えていますし、「ポジティブな対話」という形で良い刺激が生まれ、お互いにとってよい時間の使い方になると思っています。

川島:
あとは私の中でまだ実験的だなと思っているところというのは、例えばZOOMのようなICTを活用して、果たして思った通りに人が動くかというところは興味津々です。
ICTによる、脳にとってコミュニケーションになりづらいと思われる時間・空間が「継続することへの仕掛け」に有効なんだろうかという部分は私自身も知りたいなと思っています。

栄木:
ー この部分は壮大な実験になりそうですね。
ですが、この取り組みで一人でも多くの「行動維新」に繋がれば嬉しいです。

川島:
そうですね。
行動を継続して、成功体験を積んで自己肯定感を持って自信を持ち、
他のことにも一人でループを走らせていけるようになれば人々は大きく変われますよね。

ー そうですね。そうなることで少しでも世の中が明るい方向に向かってくれたら嬉しいです。
本日はありがとうございました。

 

 

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